結局電報はこなかった。 発表の後、2・3日で合格者には入学案内が郵送される。それもこないということは不合格という事に他ならない。 何度も話し合い、あと1年浪人することになった。 浪人させてくれるかわりに、社会も勉強することを約束させられた。社会を捨ててなければまだ受験できる大学もあった。親としてみればそれが腹立たしかったのだろう。 何となくぼんやりしていた。まだ現実を受け入れられないでいる。 発表の日からまだ5日しかたっていないのに、もう何ヶ月もたったように感じられる。 車窓から見慣れた街並みが流れていく。 遠ざかった夢をもう一度この手で引き戻す事ができるのか? いや・・それよりあと1年、集中力を保つ事ができるのか? 自信がなかった。 何もかも崩れ去ったようで、深い虚脱感だけがあった。 考えれば今までが順調過ぎたように思う。 今度の受験も失敗など考えてもいなかった。 思い上がっていた・・甘く見すぎていた。 そこからくる油断。 たとえ大学に受かっていても、近い将来に必ずあじわう事になる挫折感。 その事にまだぼくは気づいていなかった。 |
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